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芋領にお勧めするラヴクラフト短編ブックガイド(とお知らせ)

当ブックガイドは以下の内容を含みます。
・内容やあらすじ
・読みやすさについてのうp主の主観
※結末に触れることがあります。ネタバレを回避したい方にはお勧めしません。
※需要? 芋領なら読むだろう?



先日ラヴクラフト全集を再読したら「あーコズミックホラーしゅごい……」ってなった狂信者浅木です、そういえばもうずっとブックガイド書いてなかったのでここらでひとつ。
「芋領に勧めるって何だよこのタイトル」とお思いの諸兄もおられましょうが、読めば分かるさ。

『神殿』The Temple
他領の皆さん向けの読みやすさ:★★★☆☆
芋領向けの読みやすさ:関係ない、四の五の言わずに読め
ご紹介するのは創元推理文庫ラヴクラフト全集5』収録の「神殿」です。文庫で21ページ、すぐ読める。
ストーリーは、ドイツ帝国海軍U29(つまり潜水艦Uボートです、もうこの単語だけでワクワク)がイギリスの貨物船を撃沈させたところからスタート。
その後Uボートにしがみついていた敵船乗員の死体から謎の指輪を奪って以来、どうしたことかUボート内に不和が起こり始める。この潜水艦内に充満した不安は、船員たちを消耗させ、狂気へ駆り立てていく。
そしてついに、艦内で起きた反乱によって、このU29は制御不能になってしまうのである。
艦長である主人公は、狂気に染まりゆく船員を軍規に則って冷徹に処刑していき、ついにはたった1人、浮上もできずに海中を漂うのみとなったUボート内に取り残されることになる。
そして海底で見たもの、それがタイトルにもある「神殿」。彼は残り少ない装備を身に、その中の謎の光へ向かって歩を進める……
密閉空間での狂気という、そのシチュエーションだけで怖いテーマである。

それはともかく、何が「芋領にお勧め」なのかというと、この一人称視点の小説の主人公である艦長のカルル・ハインリッヒ氏、実にドイツ軍人なのである。
「ドイツ人特有のわが鉄の意志」とか「プロイセンの最高の文化によって育まれた者として」とかそういう表現が頻出する。
狂った同僚に対して「ドイツ人がかくも悲惨な状態になっているのを見るのはいたたまれない」とか「(狂った同僚は)軟弱なラインラント人であり、プロイセン人なら簡単に耐えうる苦難に直面して、哀れにも発狂してしまったのである」とか言う。
制御できない潜水艦の中、もはやバッテリーもなく、灯りもつけられない暗闇で、酸素の残りも少ない、生きて帰る見込みはもはや皆無……そんな状況下で、彼は自分が見、感じるものは幻覚である可能性が高いと注釈を入れつつ、「心理学的にはわが症例ははなはだ興味深いものであり、有能なドイツの権威によって科学的な観察をうけられぬのが残念である」とか言う。言ってる場合かと思うけど、大真面目に言う。
最後まで神話的恐怖を徹底的に否定し、これはただの幻覚、自分の脳が衰弱しているだけだ、と頑ななのである。
乗員全員が狂って死んだ中、彼がドイツ人としての誇りによってただ1人正気を保っているということは、むしろ狂気でさえあるのですが、それがもう非常に芋領の心をくすぐるのです。
この艦長訓練されすぎ。
生存者を閉じ込めたまま深海に沈む潜水艦とか、海底に不気味に佇む神殿とか、そんなのここまできたらもう全然怖くないよ。どこまでも冷静で常識的な彼のこの狂気こそが最も底知れず恐ろしい。
そしてある意味最も気高く美しいと思う(芋領的見地)。
これを悪しき選民思想と言うならばそうなんでしょう。けれどこの祖国ドイツに対する過度の愛と信頼そして矜持が美しい。
あとね、この人自分のことを「ドイツ人」と言うと同時に「プロイセン人」とも表現していて、それが……それがとても……(感無量)
ラヴクラフトの堅苦しく読みにくい文章も、むしろこれ元々ドイツ語なんじゃない?という妄想が捗って萌える。
いや、これをアメリカ人が書いたということすらもはや萌え。ラヴクラフトのドイツ軍人観ってこんな感じかぁ……

おすすめ。芋領は是が非でも読むべき。そして心震わせてください。






さて最後にブックガイド全然関係ないお知らせをひとつ。
6月末まで浅木は動画作成お休みします。
浅木自身も予期せぬことだったのですが、6月の某検定試験を受験することになったので、お勉強を優先します。
……これあんまりぼかす意味ないな。日商簿記2級です。
3か月の勉強で取れるもんなのかとも思いますが、もし6月落ちてしまったら次は11月受験になってしまい、そうすると10月にある様々なお芋のイベントに晴々した気分で参加できないため、なんとしても6月で合格する所存です。
というわけでTACに通い始めました。仕事の帰りにTAC寄って勉強してます。

何故こんなことをここに書くかというと、浅木には何かを成し遂げるときのお約束があり、それが以下2点です。
1. 周囲の人に実行を宣言する。
2. 他人の決めたスケジュールに従う。(今回の場合は「学校に通う」)
これやると絶対諦めないし、最大限の努力ができる。
つまりプレッシャーと周囲からの拘束力ですね。自分1人でやってたら甘えがでるからね。他人に宣言する・学校に通う・学費を払う・出席を取られる、そういう感じでサボれない環境をつくりだす。他人の存在の介入というわけです。

というわけで! つまりこれは、ブックガイドで芋領を誘い、個人的な宣言に付き合わせるというひどい釣り記事なのであった! フハハ、かかったな芋領諸君。

しかし簿記の勉強楽しいです。知識の必要なパズルって感じ。
日中は仕事して、夜TAC行って、帰宅してから問題集解いて、って感じの日々ですが、勉強面白すぎて睡眠時間が失われる。久しぶりにテキストとノートに向かう勉強してるけど、本当楽しい、申し訳ないけど動画とか作ってる暇ないくらい楽しい。
みんなも簿記勉強しよう? 特に社会人になってから勉強するとこれ本当面白いよ!
勉強たのしい! 仕事より勉強の方が100倍くらい好き!

というわけでしばらく沈黙しますが、死んでないです、イキイキと勉強してますのでご心配なく。6月末には戻ってきて何らかのご報告ができればと思います。
作りかけの動画はフォルダ内に寝かせておこう。ねんねんころり。

しばらくサヨナラ!